柳井正さんはファーストリテイリング株式会社の社長です。ユニクロは多くの方が利用したことがあるのではないでしょうか。一方で、社長の柳井さんに関してはあまり詳しくない人が多いかもしれません。
今回は柳井正さんがどのようにして今のユニクロを築き上げたのか、経歴、年収などを紹介します。
目次
柳井正とは
ユニクロといえば安くておしゃれな服が買える店として有名です。
とはいえユニクロも、元はといえば山口県だけで営業を続けている衣料品店でした。
そんなユニクロを一人で大手企業に成長させたのが柳井正さんです。
さまざまな工夫を凝らして消費者を取り込み、今となってはユニクロは世界的ブランドとなりました。錦織圭やロジャー・フェデラーといった世界的スポーツ選手もユニクロを着ています。
経営センスは日本でも屈指のものとされ、世界からも一目置かれています。
柳井正のプロフィール
- 本名:柳井正
- 出身:山口県宇部市
- 年齢・生年月日:1949年2月7日(72歳)
- 学歴:早稲田大学政治経済学部卒
- 趣味:ゴルフ
- SNS:なし
柳井正の経歴
柳井正さんの父・柳井等は小郡商事株式会社の社長でした。
とはいえ、当初父親の会社を継ぐつもりはなく、早稲田大学を卒業した後は現在のイオンの前身であるジャスコに入社します。
しかし、職場の環境に馴染みきれず9ヶ月で退社、山口に戻って、結局小郡商事に転職することとなるのです。
小郡商事はスーツなどのメンズファッションを扱う会社でしたが、大手スーツ会社が店舗を広げるのを見た柳井正さんは、競合を避けファストファッションに力を入れるようになります。
柳井正さんはスーツ店のように接客をするのが自分の肌には合わず、カジュアルな衣服を扱うなら接客もしなくて済むし、客も気軽に来店できると判断したのでした。
そのようにしてできたのがユニクロだったのです。
徐々に業績を拡大していった会社は柳井正さんを社長にし、会社名もファーストリテイリングに変更しました。
山口や広島で成功を収めたユニクロは、全国に店舗を拡大するようになります。
それに伴って既存のファッションブランドの衣服を扱っていたユニクロは、オリジナルブランドの立ち上げも計画しました。
こうして、安く・それでいておしゃれな服をたくさん扱っている店としてのユニクロが全国各地に展開されたのです。
柳井正の実績・偉業
柳井正さんの実績は大きなものでいうと3つ挙げられます。
1つ目は製造小売業の確立、2つ目は同族経営の否定、そして最後に女性経営者の登用です。
ここからは彼の偉業を一つひとつじっくりと見ていきましょう。
製造小売業の確立
今となっては自社で服を作って自分の店で売る、という体制を確立しているファッションチェーンは一般的です。しかし、ユニクロが有名になるまでは違いました。
衣料品は専門のメーカーが作るもので、小売店はそれを卸売りする、という分業体制が普通だったのです。
ユニクロも当初は分業体制を採っていましたが、あるとき、自社ブランドを立ち上げればもっと安い服を売れると気づきます。
もっとも、専門のメーカーが作る衣料品に対抗できるようなブランドを立ち上げるのは大変なことです。ユニクロもブランドを立ち上げた当初は苦戦しました。
しかし、時間が経つにつれてユニクロのデザインの良さなどが評価され、今では製造小売業は当たり前のものとなったのです。
ユニクロのこうした体制はSPAとも呼ばれ、海外でも採用される形態となりました。
同族経営の否定
柳井正さんは前述の通り親の会社を引き継いでファーストリテイリングを立ち上げました。
もともと会社を継ぐつもりはなかったものの、さまざまな事情があって親の会社に入社したことは、社長になってからもしこりとして捉えていたようです。
柳井正さんが70歳に近づいた頃になると、次の経営者を誰にするか、という課題が持ち上がるようになりました。
柳井正さんには子供が2人おり、いずれもファーストリテイリングの執行役員を務めています。
しかしながら、子どもたちを社長にするつもりはない、と明言しました。
当然彼らも柳井さんの子供ですから、なかなか優秀な社員ではあります。
しかし、これからのグローバルな時代を生き抜くためにはもっと優秀な人材を登用しなければなりません。
世襲する会社が少なくない中、柳井さんのような態度を取れる経営者は極めて稀と言えるでしょう。
女性経営者の登用
では、柳井正さんは次の社長を誰にするつもりでいるのでしょうか。
2019年に次の社長は女性にする、とインタビューで答えています。
ファーストリテイリングは積極的に女性管理職を登用する会社として知られています。
2018年には社内の36%を女性管理職にしていますし、2019年にはCEOに赤井田真希さんを抜擢しました。
男女平等がなかなか進まない業界もある中で、ファーストリテイリングの姿勢は称賛に値するものでしょう。
社長を退き、新たな女性社長が誕生したとき、どのような変化がユニクロにもたらされるのか注目が集まります。
柳井正の現在
柳井正さんは現在72歳です。(2021年7月時点)
普通の経営者ならすでに社長を退任し、後継者に仕事を任せて隠居していてもおかしくない年齢でしょう。
しかしながら、今なおファーストリテイリングの社長を務め続けています。
それだけでなくユニクロ株式会社の社長も兼任していますし、傘下のジーユー株式会社の取締役会長も務めています。
ここ10年近くは後継者問題が取り沙汰されていますが、自分から社長を退任するつもりはないようです。実際にインタビューでは、必要とされる間はずっと働き続けていたい、と公言しています。こうしたアグレッシブな姿勢に希望をもらう高齢者の方も少なくないでしょう。
また最近では社会貢献活動も積極的に行っています。
たとえば2011年に東日本大震災が起きた際には義援金として10億円を寄付しました。
母校早稲田大学にもたびたび寄付することで話題になっています。
さらに2020年には京都大学に100億円を寄付すると発表し、同大学から名誉フェローを授与されました。近年は資金難に陥っている大学も多くあり、研究をしたくてもできない学者が増えています。こうした活動が有益な研究を行う助けになるでしょう。
柳井正の推定年収・資産
柳井正さんは孫正義さんと並ぶ日本最大の資産家としてたびたび長者番付に掲載されています。
フォーブズが発表する世界長者番付には2006年からランクインするようになり、以降100位以下になったことは一度もありません。
2009年には日本人トップにもなりました。
2021年4月6日時点での総資産はおよそ4兆8,000億円です。これは孫正義さんに次いで日本2位、世界でも31位の数字です。
一方で役員報酬は4億と一般的な社長に比べればあまり多くはありません。
ただ、株式配当を含めれば100億円を超え、日本で一番年収の高い社長となっています。
家族・恋愛・結婚情報
柳井正さんの妻はかつて通訳を仕事にしていた照代さんです。
相当優秀な通訳だったようで、結婚した当初は柳内さんの年収の3倍を稼いでいました。
しかし、結婚すると通訳の仕事はほとんど辞めてしまい、家庭で柳内さんを支えると決心したそうです。
そんな柳内夫妻は2人の子宝に恵まれました。
長男はゴールドマンサックスにも勤務した経験を持つ一海さんで、現在はファーストリテイリングの執行役員を務めています。
次男もファーストリテイリングの取締役を務める康治さんで、かつては三菱商事に勤めていました。
ファーストリテイリングとは
ファーストリテイリングは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という理念のもと、アパレルの素材調達から企画、生産、販売まですべてを一貫して手がけています。
すべてのプロセスを一貫して自社で賄うことで、高品質な服をリーズナブルなプライスで提供できるのが強みです。
ファーストリテイリングが展開するブランドのUNIQLO(ユニクロ)やGU(ジーユー)は多くの方が知っていることでしょう。もともとは山口県で生まれた小さなアパレルショップでしたが、今では世界各地へと出店を遂げました。
シンプルで機能的なアイテムは、世界の人に親しまれています。日本に旅行に来る外国人客がユニクロを目指して爆買いしていくのはもとより、ニューヨークやロンドン、中国や韓国など世界に店舗的な店舗展開をしているのも特徴です。
全世界に約14万人の従業員がおり、企業公用語は英語となっています。
ダイバーシティな労働環境が構築されており、どの店舗でも国籍を問わないグローバルなスタッフが働いています。
情報発信製造小売業という事業コンセプトのもと、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界の人へ本当に良い服を届けるのを使命とする企業です。
従業員教育も徹底されており、常にお客様の立場に立って考えることを重視しています。
現場の裁量も大きく、いかにお客様の要望に応えるか、役に立つかを考えて行動する姿勢が養われている企業です。
ファーストリテイリングの歴史
ファーストリテイリングは「本当に良い服」を追求し続ける歴史を積み重ねています。
本当に良い服だからこそ、国境を越え、民族や文化の違いも問わずに手に取ってもらえるという理念のもと、山口県生まれの小さなメンズショップが世界規模のブランドを持つアパレル企業へと成長してきた歴史があります。
年代でざっと見ると、以下のような沿革を辿ってきました。
1949年3月にユニクロの前身となるメンズショップ小郡商事が、創業社長の箭内正氏の父親によって山口県宇部市で創業されました。
1984年に父親の後を引き継ぐと、その6月にはユニークなクローズ(ほかにはない個性的な衣料)からユニクロという名称で、第1号店を広島市に出店しています。
そのブランドコンセプトが多くの人に受け入れられ、東京をはじめ、全国へと出店をしていき、1997年4月には東京証券取引所市場第二部に株式上場を果たしました。
そして、1999年2月には東京証券取引所市場第一部銘柄へと成長を遂げています。
2000年10月にはインターネット販売をスタート、2001年9月にはユニクロ海外進出のスタートとなるロンドンへ出店を果たしました。
2002年にSKIP(スキップ)という名称で食品事業を手がけ、ユニクロ・トマトなどと話題を集めたものの、こちらはアパレルのようにはうまくいかず、2004年4月撤退しています。
2005年10月には高級な街として知られる銀座に大型店を出店し、低価格のファストファッションのブランドが銀座を変えると話題を集めました。
2020年6月にはコロナ禍でありながらも、リアルとバーチャルを融合させた最新鋭の店舗ユニクロ原宿店をオープン、同時期に銀座にグローバル旗艦店UNIQLO TOKYOをオープンさせ、開店を待つ人で行列ができるなど勢いは止まりません。
ファーストリテイリングの特徴・強み
ファーストリテイリングの強みは単なる安売り衣料ではなく、素材感や機能性に優れ、万人が手に取りやすいシンプルなデザインであることです。
何より、単に販売だけを手がけるのではなく、自社で商品の企画からデザイン、素材の開発や仕入れも行い、製造、販売と一貫した体制を整えている点も、ほかのアパレルショップと大きく差をつけています。
世界に展開するユニクロを中心に、デザイナーやパタンナーなどのプロスタッフも世界中におり、文化や民族を超えて世界の人に愛され、機能的で着やすい服を作れるのが強みです。
デザイン面だけでなく、フリースやヒートテック、エアリズムなどの独自の素材開発にも取り組んできました。
ファーストリテイリングの成長を支えてきた「革新と挑戦」の精神が、見事に体現されています。
ファーストリテイリングの業績・売上高
ファーストリテイリングはユニクロやジーユーなどの自社ブランドと買収したブランドを中心に複数のブランドを世界中で展開し、売上規模は世界のアパレル製造小売業の中でも第3位の規模を誇っています。
中でも代表的なブランドである、ユニクロは22の国と地域に約2,200店舗を展開しており、2019年8月期末の売上高は約1兆9,000億円にのぼりました。
また、ユニクロが素材の上質性から価格の引き上げを図った以降に、ファッショナブルながらも低価格を打ち出してスタートしたジーユーは、日本市場を中心に約2,400億円の売上規模を構築しています。
ファーストリテイリングのサービス・事業内容
ファーストリテイリングの事業は複数のブランドの展開とそれぞれのブランドコンセプトに合わせたアイテムの企画、開発を行い、生地を仕入れて製造し、販売することです。
ここではファーストリテイリングの手がけるブランドを案内しながら、サービスや事業内容を紹介していきます。
ユニクロ
ファーストリテイリングの企業名は知らなくても、ユニクロなら知っているというほど有名なファストファッションのブランドです。
「人々の生活をより豊かに、より快適にする究極の普段着」をコンセプトにしています。
フリースやヒートテック、エアリズムなど続々と新しい素材を生み出し、温かい、涼しい、心地良い服を生み出し、人気を集めてきました。
シンプルながらも機能的でリーズナブルな価格展開で、全世界にファンが広がっています。
ジーユー
ジーユーはユニクロと同じようなカジュアルウェアでありながら、より安価で、学生や若者を中心に人気が高いブランドです。
自由・スピード・変化をモットーに、「あらゆる人が気軽に楽しめるファッション」を提供しています。
ユニクロと並ぶ看板ブランドに成長させるべく、海外進出に乗り出し、中国・台湾・香港へ出店しています。
セオリー
ニューヨーク生まれのブランドですが、2009年にファーストリテイリングが完全子会社化しました。
カジュアル服やワーキングウェアとしても人気のユニクロとは異なり、シンプルながらも洗練されたデザインの衣類やアクセサリーなどを展開しています。
セオリーリュクス
セオリーの姉妹ブランドであり、大人の女性に向けにトレンドを取り入れながら、クールで気品のあるデザインを提供するブランドです。
プラステ
レディース、メンズを取り揃え、シンプルながらも上質な日常着をコンセプトに、素材や着心地、着こなしにこだわった服を提供する大人向けのブランドです。
ジェイブランド
ロサンゼルス発のブランドで、高品質なプレミアムデニムに特化し、革新的なデザインと美しいシルエットのアイテムを取り揃え、フィット感の良さでも定評があります。
2012年にファーストリテイリングが買収しました。
プリンセス タム・タム
フランス生まれのランジェリーブランドで、現在ではファーストリテイリングの子会社となっています。
「女性が自分らしくあるための下着」をコンセプトにしており、2015年にはユニクロのヒートテックとコラボレーションした温かく機能的ながらも、フェミニンでデザイン性に優れた下着を発表し、世界販売に先駆けて、ブランド発祥の地であるパリで先行発売して話題を集めました。
ファーストリテイリングの評判・口コミ
ファーストリテイリング=ユニクロと言っても過言ではなく、日本のみならず、世界で老若男女に知られているブランドです。
着やすくて機能的でリーズナブルと世界的に大人気のブランドですが、日本では一時期、ユニクロ離れが進んだ時期もあります。
安くて暖かいフリースや薄いのに暖かで仕事着の下にも着やすいと人気のヒートテックなどを次々と生み出し、安くて買いやすいと大量買いをする人が多かったものです。
ですが、価格転換を図り、全体的に値段が上がってきたことで、国内では、庶民的な格安ブランドの他社へ流れる現象も起こりました。この時期はユニクロに対する批判の声もあがったものです。
その後、かつてのユニクロのような低価格帯のジーユーが登場し、エアリズムなど涼しい新素材の開発や、時代のニーズに即したマスク開発を行い、ユニクロも再び人気が戻ってきました。
まとめ
柳井正さんは今後も間違いなく日本経済をリードしていく人物でしょう。
人物像を知ることは、今後の日本経済の行方を知ることとも言えます。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。