夏野剛さんは株式会社ドワンゴの代表取締役社長です。2021年6月には株主総会にて親会社である株式会社KADOKAWAの代表取締役社長にも就任が決まりました。
ビジネスウィーク誌では世界のeビジネスリーダー25人の内1人に選出され、数多くの経歴をもつ夏野剛さんとは一体どのような人物なのでしょうか。
今回は夏野剛さんの経歴・実績・年収・家族などに加え、ドワンゴとは一体どのような会社なのかも詳しくご紹介します。
目次
夏野剛とは
夏野剛さんは株式会社ドワンゴとその親会社である株式会社KADOKAWAの取締役社長ですが、その他にも現職は多く、「内閣府 規制改革推進会議議長」やトランスコスモス株式会社の社外取締役、グリー株式会社の社外取締役など、ここではお伝えしきれないほどの現職を務めています。
大学の教授もされていて、慶應義塾大学大学院や近畿大学、情報経営イノベーション専門職大学の特別招聘教授・超客員教授としても活躍されています。
夏野剛さんは多彩な経歴・教授として活躍されているだけあって、監修・共作含めて20以上の雑誌記事や本の出版なども行っています。
夏野剛のプロフィール
- 本名:夏野 剛(なつの たけし)
- 出身地:神奈川県
- 生年月日:1965年3月17日
- 学歴:早稲田大学政治経済学部・ペンシルベニア大学ウォートンスクール
- 趣味:プログラミング
- SNS :https://twitter.com/tnatsu
夏野剛の経歴
ここからは、夏野剛さんの経歴について紹介します。
東京ガスに入社
夏野剛さんは早稲田大学を卒業後、東京ガスに入社します。東京ガスへの就職を決めた理由は地方などへの移動がなく、留学制度があったことだそうです。
学生時代からプログラミングが趣味だった夏野さんは入社後、東京ガスにて様々な業務改革を行いました。当時、手書きのみでしか提出が行えなかった提案書をパソコンで簡単に作成できるようにしたことや、専門誌「新建築」のアイデアコンペで入選も果たし、このような実績が評価され、入社当時から目標としていた留学制度を用いて海外留学をしました。
1993年にペンシルベニア大学ウォートン校の経営大学院へと留学し、1995年に経営学修士(MBA)を取得します。
留学と同時期、インターネット業界は黎明期で米国のyahoo!が事業を開始した時期です。大学でも社会の変化を捉えてインターネット×ビジネスにおいて色々なテーマを出し合って議論する機会があり、夏野剛さんにとってはまさに趣味と仕事(実益)が合致した瞬間でもあったとインタビューで答えられています。
起業するも倒産しドコモへ就職
帰国後した1年後に東京ガスを退社しベンチャー企業を立ち上げましたが、間もなくして倒産。そのタイミングでアルバイト時代、知り合いだった松永真理(現:松永真理事務所代表)からのお誘いで1997年にNTTドコモへと就職します。
NTTドコモでは当時大きく話題となった「iモード」の開発事業に携わり、その後も「おサイフケータイ」「デコメ」などのサービスを推進しました。
2005年にはNTTドコモの執行役員へ就任しますが、2008年に退職しました。
ドワンゴの社長に就任
退職後は非常に多くの会社から声をかけられ、いろいろな企業の取締役に就任します。
この時に株式会社ドワンゴと出会い「ニコニコ動画」の黒字化担当として活動し、2010年に見事黒字化へと成功し、その成果が認められ2019年に株式会社ドワンゴの代表取締役社長に就任しました。
夏野剛の推定年収・資産
夏野剛さんはKADOKAWA・ドワンゴ以外にも他社の役員などを務められていて、それぞれの企業が公開している情報をもとに年収を推定すると約1億5千万円と予想されます。
その他にも書籍出版やメディア・イベントにも出演し、報酬を得ていますのでそれも含めると2億円は超えているのではないでしょうか。
夏野剛の家族・結婚情報
夏野剛さんは結婚されていて、奥様は自民党の中谷元前防衛省の妹さんです。
子供は女の子が2人おり、インタビュー等でも子供の話が話題にでてくることも多々ありますので、子育てに協力的といった印象でした。長女はバレエに熱中し、妹はバレエやピアノ、バイオリンなど本人がやりたいと思う事は一通り経験させているそうです。
夏野剛さんの子育てモットーは“好きなことを存分にさせること”だそうで、そのために中学受験もさせなかったとお話されていました。
夏野剛の実績・偉業
多くの企業で実績を残してきた夏野さんの偉業は以下のとおりです。
東京ガスにて業務改革を行った
大学卒業後に東京ガスへと就職した夏野さんは、新人研修後に本社の新規事業部に配属されました。そこは都市全体のエネルギーシステムを設計構築して事業化を目指す部署で新しい試みだっただけにとても忙しい部署だったそうです。
特に手間取っていたのは提案書で、当時は提案書作成というと手書きが当たり前なため作成に1か月かかることも多かったそうです。1つの提案書を作成するコストは20万~30万円となっていて、それを無駄と感じた夏野剛さんはコンピューターを使って自分で作成できるように業務改革を行いました。
その他にも何千万円もかけてBASICで開発していたエネルギーシステムをシュミレーションするソフトの処理時間が長いからと、ほとんどを作り直した経験もあるそうです。
ドコモ携帯で大ヒットした「iモード」を立ち上げる
1997年にNTTドコモに転職、1999年NTTドコモも携帯サービスとして登場した「iモード」は携帯電話でメールやインターネットの閲覧ができる世界初の携帯電話IPサービスとしてとても話題となりました。
その生みの親の1人が夏野剛さんであり、「iモードの父」として有名です。
iモードのビジネスモデルは夏野さんが大学で学んだ知識とベンチャー企業で試した経験と反省をそのまま加味して創り上げたものだとインタビューでもお話されていました。
その後も「デコメ」や「おサイフケータイ」など、当時は画期的だったサービスを次々と生み出しています。
「ニコニコ動画」の黒字化に成功
2008年にNTTドコモを退職後、株式会社ドワンゴの取締役に就任した夏野剛さんは「ニコニコ動画」の黒字化担当に任命されました。
Iモードの公式サービス化、yahoo!との提携など多くのサービスを生み出し、2010年1-3月期に初の黒字化を達成しています。
夏野剛の現在
夏野剛さんは2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に参与されています。7月17日には聖火リレー者として都内も走りました。
五輪競技の無観客開催について不適切と思われる発言がニュースとなりましたが、謝罪及びKADOKAWAの役員報酬の一部返上を申し出て事無きを得ています。
また、政府が新たに発足準備を行っている「デジタル庁」でのデジタル社会構想会議の構成員としても選ばれ、今後の行政サービス・暮らし・産業などのデジタル化についての議論を行っているそうです。
株式会社ドワンゴとは
夏野剛さんが社長を務める株式会社ドワンゴは、オンラインエンタテイメントコンテンツを提供する会社です。
ゲームや着メロ・着信ボイスなどの携帯向け音楽配信などメインに成長を遂げて、現在では再生動画にリアルタイムでコメントを投稿することができる「ニコニコ動画」のサービスをメインに複数のグループ会社を持っています。
株式会社ドワンゴ(dwango)の意味は「Dial-up(ダイヤルアップ)」「Wide(幅広い)」「Area(範囲)」「Network(通信網)」「Gaming(ゲーム)」「Operation(操作)」の頭文字をとってつけられた社名です。
2014年に株式会社KADOKAWAと経営統合契約書を締結し、KADOKAWAの子会社となっています。
株式会社ドワンゴのサービス・事業内容
株式会社ドワンゴのサービス・事業内容は以下のとおりです。
ウェブサービス
ドワンゴのメインサービスともいえる「ニコニコ動画」や「ニコニコ生放送」は2006年より提供を始めていて、独自のコメント機能を使ってリアルタイムでコミュニケーションを楽しむことができるサービスを中心に提供を行っている事業です。
動画配信のほかにも「Ncon」というオタクに特化した婚活を提供している結婚相談所やdアニメストアの支店、ニュース見ながらコメントができる「ニコニコニュース」、登録不要で人気音楽が聴き放題となる「NicoBox」などオンライン上の様々なサービスを提供しています。
千葉県千葉市の幕張メッセでは、2012年から毎年「ニコニコ超会議」という、直接参加型のイベントも行っていて、アーティストやスポーツ選手、芸人、政治家などが参加しライブやトークで参加者を盛り上げ大盛況となっています。
ゲーム
自作ゲームの投稿コミュニティサイト「ゲームアツマール」の提供や株式会社ドワンゴとNHN PlayArtとの共同開発ゲーム「#コンパス~戦闘摂理解析システム」の運営を行っています。
その他、関連子会社「スパイク・チュンソフト」にてパッケージソフト・オンラインゲームの企画開発や販売とオンラインソフトのローカライズ(地域設定)もしています。
バーチャルリアリティ(VR)
VRを利用してライブコミュニケーションが楽しめるサービスを企画開発し、ユーザーへと提供しています。
現在、サービスは2種類となっていて、「カスタムキャスト」はスマホを利用して簡単に好きな3Dキャラの作成し、それを利用してニコニコ生放送やVTuber配信にてネット上でのコミュニケーションツールとして活用が可能です。
「バーチャルキャスト」ではVRを使用し、なりたい自分となって次元を超えたコミュニケーションをとることができます。背景や道具をカスタマイズすることで、VR世界でBBQやイベントなど様々なことを楽しめます。
イベント
2012年より“ニコニコ動画をほぼ、地上に再現”というテーマのもとスタートした「ニコニコ超会議」やゲームイベント「闘会議」、ニコニコで活躍しているアーティスト達による音楽イベント「ニコニコ超パーティー」などを企画・運営している事業部です。
株式会社ドワンゴが行うイベントは国内のみだけでなく、海外からも注目があり国外からの参加者も多いようです。
他にも世界最大のアニメソングイベント「アニメロサマーライブ」の主催や日本の伝統芸能である歌舞伎とコラボしオリジナル制作した「超歌舞伎」は最新技術と伝統芸能の融合の実現と話題となり、数多くの受賞を得ています。
イベントの他にも、自社スタジオ「ハレスタ」の運営も行っています。
教育
ニコニコ生放送のシステムを活用して独自に開発したアプリ「N予備校」は教材・生授業・フォーラムをスマホで見るオールインワン学習ができます。
双方向性システムを取り入れている生放送授業では学習効率と質を向上させる機能がついていることが特徴となっています。
講座内容は大学受験・プログラミング・Webデザイン・動画クリエイターなど様々で2021年4月からはVR空間上で学修可能な授業教材の提供も開始し、学校法人角川ドワンゴ学園だけでなく一般にも有料公開中です。
このように、これまでの動画を視聴するだけのeラーニングという一方向性を解決したことで2018年10月に「第15回日本e-Leaning大賞」にて文部科学大臣賞を受賞しました。
モバイルコンテンツ
ドワンゴの初期時代から続けている携帯電話向けコンテンツサービスの事業です。
時代と共に変化を遂げていて、現在は動画配信「dwango.jp」「animelo mix」や日本相撲協会の公式アプリ「大相撲」も提供しています。
この他にも読書を読むのではなく聴いて楽しむオーディオブックサービス「ListenGo by dwango.jp」や芸能ニュースサイト「dwango.jp news」、ニコニコアーティストの公式グッズや個性あふれるクリエイター商品を販売している「ドワンゴジェイピーストア」など多彩なコンテンツを運営しています。
株式会社ドワンゴの特徴・強み
ドワンゴの強みは動画配信で圧倒的な人気を誇る「ニコニコ動画」ではないでしょうか。
2019年には「Abema TV」を運営するサイバーエージェントの子会社であるAbemaTVとパートナーシップを締結し、Abema TVの番組をニコニコ生放送やニコニコチャンネルでも放送できるようになりました。
この2社がパートナーシップを築いた理由は動画市場 世界No1ともいえるYouTubeのような動画配信サービスへの成長です。
夏野剛社長は国内のネット業界には連携が足りていないと感じていて、それが成長に伸び悩む要因であると思い、今回AbemaTVとの連携に動きました。
今までの歴史をみてもドワンゴの行動はとてもスピーディに感じます。時代の流れに敏感に反応し行動に移す会社であるのもドワンゴの特徴であり大きな強みといえるでしょう。
株式会社ドワンゴの評判・口コミ
株式会社ドワンゴへ転職した方や新卒採用された方などの口コミについて調査しました。
社風としては女性が多く働いていて、結婚後の働きやすさ、産休・育休もとりやすく育休後も復帰している方が多いようです。
また、『個性的な社員が多い』、『社風が自由』、『実力主義』といった印象を持つ社員も多く、仕事に問題がなければリモートワークや休暇もしっかりとれるためワークライフバランスが優れていると感じている社員が多い印象でした。
まとめ
以上、KADOKAWA・ドワンゴの社長である夏野剛さんのご紹介でした。
日本のインターネット業界は夏野さんによる力添えが大きく、この先も必要不可欠な存在であるといえます。
自分の好きなことを仕事にして大成功を収めた人物でもありますので、趣味と仕事を合致させたい方にとって参考となれば幸いです。